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小売用語 ECR(効率的消費者対応)Efficient Consumer Response

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ECR(効率的消費者対応)は、小売業において重要なIT活用の一つとなっています。本記事では、「ECR」とは何か、類語との違い、その重要性、そしてECRと小売業のIT活用について解説します。

1.「ECR」とは

ECR(Efficient Consumer Response)とは、ITを駆使し、メーカー、卸売業者、小売業者が連携してサプライチェーン内の効率化を進めることを目的とした仕組みです。品揃え・販売・発注・決済に関わる項目に対して効率化を進めることが目的であり、日本独自の商習慣や取引ルールのオープン化などの課題も抱えています。

SCMとECRの違いは、SCMが原材料のサプライヤーからエンドユーザーまでの流れ全体の最適化を目指すのに対し、ECRは「あくまでも顧客を起点」にしている点です。ただし、ECRとSCMはともに、製造と卸売、小売の緊密な協力体制によって、消費者に高い価値を提供することを目的とする点では一致しています。

また、ECRは電子レジスターを指す「electronic cash register」の略である時代もありましたので、略語の扱いには注意が必要です。

2.「ECR」の目的

ECRの主な目的は、以下の通りです。

コスト削減: サプライチェーン全体の効率化により、無駄を削減し、コストを抑えることができます。

在庫管理の最適化: IT活用により、在庫管理が正確かつ効率的に行われ、適切な在庫量が確保されることで、品切れや在庫過剰のリスクを低減できます。

消費者満足度の向上: 効率的なサプライチェーンにより、消費者のニーズに迅速かつ正確に対応することができ、消費者満足度が向上します。

3.「ECR」とIT活用

ECRは、小売業におけるIT活用の一例として、以下のような利点があります。

データ共有と連携: メーカー、卸売業者、小売業者間でデータがリアルタイムで共有され、効率的な連携が可能となります。

データ分析: 収集されたデータを分析し、市場のトレンドや消費者のニーズを把握することができます。これにより、適切な商品戦略が可能となります。

4. 代表的な事例

1990年代にアメリカでP&Gは、まず米国でウォルマートとの間で戦略的同盟を結び、ECRを実現しました。EDIを利用してタイムリーで効率性・生産性の高い生産システムを構築することによって、業績を飛躍的に向上させることができました。