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小売用語 EDLP

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1.「EDLP」とは

EDLP(Every Day Low Price)とは、毎日安定した低価格を提供する戦略のことを指します。
この戦略では、特売やセールを実施する代わりに、継続的な低価格を維持することで、顧客に価格の安定感を提供し、リピート購入を促します。

2.「EDLP」の類語との違い

EDLPの類語には、「ハイ&ロー戦略」があります。ハイ&ロー戦略では、通常の価格設定とは別に、定期的にセールや特売を行うことで、顧客の購買意欲を喚起します。
EDLPとハイ&ロー戦略の主な違いは、EDLPが常に安定した価格を提供することを目指すのに対し、ハイ&ロー戦略ではセールや特売を通じて価格変動を利用して集客する点です。

ESLP(Everyday Same Low Price)はEDLPとほぼ同じ意味合いです。

3.「EDLP」の重要性

EDLP戦略の重要性は以下のような点が挙げられます。

  • 顧客満足度の向上: 一定の価格帯で商品を提供することで、顧客は価格に対する安心感を持ち、リピート購入が増えることが期待できます。
  • 在庫管理の効率化: セールや特売の頻度が減ることで、在庫管理が容易になり、在庫コストの削減につながります。自動発注の精度も上がり、欠品による機会損失が減少します。
  • 作業量の平準化:毎日の売れ行きや納品量のばらつきが小さくなりますので、日々の作業量が平準化できる点も大きなメリットです。
  • 価格競争力の強化: 低価格を継続的に提供することで、競合他社との価格競争力が向上し、市場シェアの獲得が期待できます。

4.「EDLP」の難しさ

上記の通りにメリットの大きなEDLPですが、採用しない企業や採用したものの結局ハイ&ローに頼る企業が多いです。
これはEDLPをやりきることの難しさが原因です。

  1. 利益率の低下: EDLP戦略を採用すると、商品の価格が常に低く抑えられるため、個々の商品の利益率が低くなる可能性があります。企業によっては、短期的な利益率の低下を避けるために、EDLP戦略を採用しないことがあります。
  2. プロモーション活動の制限: EDLP戦略では、一定の低価格を維持するため、タイムセールや特別割引などのプロモーション活動を行いにくくなります。プロモーション活動が顧客の購買意欲を高めると考える企業にとっては、EDLP戦略が適さない場合があります。新規顧客獲得に時間がかかるという弱点もあります。
  3. 価格競争の激化: EDLP戦略を採用する企業が増えると、市場全体の価格競争が激化し、利益率がさらに低下する恐れがあります。このため、競合他社との差別化を図るために、EDLP戦略を避ける企業も存在します。
  4. コスト削減の難しさ: EDLP戦略を成功させるためには、効率的なコスト削減が不可欠です。しかし、供給チェーンの最適化や在庫管理の効率化など、コスト削減には多くの取り組みが求められるため、すぐに実行できるものではありません。そのため、実践が難しいと判断される場合もあります。
  5. 顧客の認識: EDLP戦略では、低価格が継続的に提供されるため、一部の顧客は品質が低いと認識する可能性があります。これがブランドイメージの低下につながることを懸念し、EDLP戦略を選択しない企業もあります。

5.「EDLP」とIT活用

EDLP戦略を成功させるためには、IT活用が欠かせません。以下に、EDLP戦略におけるIT活用の例を紹介します。

  • データ分析: 売上データや顧客データを分析することで、適切な価格設定や商品構成を見つけ出すことができます。また、過去のセールや特売のデータを分析し、EDLP戦略に適した商品カテゴリやタイミングを把握することが可能です。
  • 在庫管理システム: ITを活用した在庫管理システムを導入することで、在庫状況のリアルタイムな把握が可能になり、EDLP戦略において重要な在庫コントロールが効率化されます。
  • 価格最適化ツール: 価格最適化ツールを利用することで、競合他社の価格動向を分析し、自社の価格設定を最適化することができます。これにより、市場での競争力を維持しながら、EDLP戦略を継続的に実施することが可能です。
  • オムニチャネル戦略: EDLP戦略をオンラインとオフラインの両方で展開することで、顧客の購買チャネルを限定せず、より多くの顧客にアプローチすることができます。また、オムニチャネル戦略において、IT活用による在庫や顧客情報の一元管理が重要です。

ここまで、EDLP戦略とその類語、重要性、およびIT活用について解説しました。

小売業での競争力を維持・向上させるためには、EDLP戦略を効果的に活用し、データ分析や在庫管理などのITツールを駆使することが不可欠です。これらの活用により、顧客満足度を向上させ、競争力を高めることが期待できます。